
越前がに(越前ガニ)とは、福井県内の港で水揚げされたズワイガニのオスのことです。種類としてはズワイガニそのもので、産地によって呼び名が変わります。漁が解禁されるのは毎年11月6日。福井では、この日が冬の始まりを告げる行事のように扱われています。
福井で創業60年以上、港の競りを見てきたカニ問屋・越前かに問屋ますよねが、越前がにの基本をまとめました。
- 越前がにとズワイガニ・加能がに・松葉ガニの違い
- 解禁日と漁期、いちばんおいしい時期
- 黄色いタグの意味と、「越前がに極」の基準
- 値段がどう決まるか、選ぶときに見るところ
目次
越前がにとは? 基本の早見表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 種類 | ズワイガニ(本ずわい)のオス |
| 産地 | 福井県内の港で水揚げされたもの |
| 解禁日 | 毎年11月6日 |
| 漁期 | オスは3月20日ごろまで |
| 目印 | 水揚げ港が刻印された黄色いタグ |
| メス | せいこがに(漁期は年内まで) |
| 最上位の格付け | 越前がに極(きわみ) |
ズワイガニ・加能がに・松葉ガニとの違い
日本海で獲れたズワイガニのオスは、水揚げされた場所ごとに別の名前で呼ばれます。中身が違うカニだと思われがちですが、分類上はどれも同じズワイガニです。
| 呼び名 | 水揚げされる場所 | タグの色(代表例) |
|---|---|---|
| 越前がに | 福井県 | 黄色 |
| 加能がに(加能ガニ) | 石川県 | 青色 |
| 松葉ガニ | 鳥取県・島根県・兵庫県など山陰 | 産地ごとに異なる |
| せいこがに | 福井県(ズワイガニのメス) | — |
| 水がに(ずぼがに) | 福井県(脱皮後まもないオス) | — |
それでも産地ごとに味の印象が語られるのは、漁場の水深や海底の質、漁から港までの距離、水揚げ後の扱い方が違うためです。越前がにの漁場は港から近く、網を揚げてから競りまでの時間が短いことが特徴になっています。
水がには、脱皮して間もないオスの越前がにです。殻がやわらかく身の水分が多いぶん、価格は抑えめで、地元では味噌汁や鍋で親しまれています。
カニの種類そのものの違いは、食用カニの種類一覧で詳しくまとめています。
解禁日は11月6日|漁期とおいしい時期
日本海のズワイガニ漁は、資源を守るために漁の期間が法律で決められています。福井の場合は、例年次の日程です。
| 区分 | 漁期の目安 |
|---|---|
| 越前がに(オス) | 11月6日 〜 3月20日ごろ |
| せいこがに(メス) | 11月6日 〜 12月31日ごろ |
| 水がに | 2月19日 〜 3月20日ごろ |
解禁日の港で起きていること
11月6日の未明、福井の各港から船が出ます。戻った船の荷は、その日のうちに競りにかけられます。私たちのような仲買は、甲羅の色つや、脚の張り、持ったときの重さを一尾ずつ見て値を付けていきます。
同じ船の同じ網で揚がったカニでも、一尾ずつ評価が分かれます。越前がにが「産地直送」の価値を持つのは、この競りから発送までが短いからです。解禁直後に産地から届くカニは、身の水分が抜けきらないうちに食卓に届きます。
旬はいつか
解禁直後の11月は、身がしっかり詰まったカニが揃いやすく、カニみその風味も濃い時期です。年末年始にかけては需要が集中し、値段も動きます。年明けから2月ごろは数が落ち着き、大きな個体に出会えることもあります。
せいこがにを味わえるのは年内だけです。外子(卵)と内子を目当てにされる方は、11月から12月に予定を合わせてください。
黄色いタグと「越前がに極」の意味
黄色いタグは「福井で揚がった証」
福井県で水揚げされたズワイガニのオスには、競りにかける前に黄色いタグが付けられます。このタグには水揚げされた港の名前が刻印されていて、どこで揚がったカニなのかが後から分かる仕組みです。
2018年9月27日に越前がにが国の地理的表示(GI)保護制度に登録されてからは、タグにGIマークも入るようになりました。タグは産地を示すものなので、「タグ付き越前がに」という言い方は、福井県産であることが確かめられるカニという意味になります。
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「極」は3つの基準をすべて満たしたもの
2015年からは、越前がにの中でも特に大きく姿のよいものを「越前がに極(きわみ)」として出荷しています。基準は次の3つで、すべてを満たしたものだけに専用のタグが追加されます。
- 重さ:1.3kg以上
- 甲羅の幅:14.5cm以上
- 爪の幅:3cm以上
さらに、脚が欠けていないこと、傷がなく姿が整っていることも見られます。条件が重なるため、1シーズンに出る数は全体のごく一部です。
越前がにの値段の決まり方と、選ぶときに見るところ
越前がには、1尾ずつ競りにかけられて値段が付きます。同じ日に揚がったカニでも、1尾ごとに評価が変わるのが、ほかの冷凍カニとの大きな違いです。
値段を左右する4つの要素
| 要素 | 見られるところ |
|---|---|
| 重さ | 1kgを超えるものから値が大きく上がる |
| 姿の良さ | 脚が10本揃っているか、甲羅に傷がないか |
| 身の詰まり | 甲羅や脚を押したときの硬さ |
| 時期 | 解禁直後と年末は需要が集まる |
脚が1本でも欠けていると評価は下がります。味が落ちるわけではないので、ご家庭で食べるなら「脚折れ」や「訳あり」と呼ばれるものが選びやすい選択肢になります。贈り物にするなら、姿が整ったものやタグ付きを選ぶと安心です。
通販で選ぶときに見るところ
産地から離れた場所で越前がにを求めるなら、通販が現実的な選択肢になります。商品ページで確かめておきたいのは次の4点です。
- 茹でか生か:届いてすぐ食べるなら茹で。自分で茹でたい、鍋にしたいなら生
- 重さの表記:1尾あたりの重さが書かれているか。「1kg前後」のように幅がある表記が一般的です
- タグの有無:姿のまま届く商品なら、タグ付きかどうかが産地の確認になります
- 届く日:解禁直後と年末は配送が混み合います。食べる日が決まっているなら日付指定を
ふだん食べるカニとは使い分ける
越前がには、生きたまま茹でて姿のまま味わう、ハレの日のカニです。鍋やしゃぶしゃぶで気軽に食べたい日は、カット済みのずわいがにのほうが扱いやすく、殻をむく手間もかかりません。
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届いたあとの扱い
茹でた姿の越前がには、冷蔵庫で保存し、その日から翌日までに食べきるのが目安です。冷凍のカニが届いた場合の解凍は冷凍カニの正しい解凍方法、殻の外し方はズワイガニのさばき方をご覧ください。
よくある質問
Q. 越前がにとズワイガニは違うカニですか?
同じカニです。ズワイガニのオスのうち、福井県内の港で水揚げされたものを越前がにと呼んでいます。石川県なら加能がに、山陰なら松葉ガニと、産地で呼び名が変わります。
Q. 越前がにはいつからいつまで食べられますか?
解禁は11月6日で、オスの漁は3月20日ごろまでです。メスのせいこがには12月31日ごろまでと短く、外子や内子を楽しめるのは年内に限られます。
Q. 黄色いタグが付いていないカニは越前がにではないのですか?
福井県産であることを示すタグなので、付いていないものは越前がにとして売られません。ただし、脚だけに切り分けられた商品や加工品ではタグが外れるため、表示で産地をご確認ください。
Q. 加能がにと越前がにはどちらがおいしいですか?
どちらもズワイガニのオスで、優劣が付けられるものではありません。漁場や水揚げ後の扱いによる違いはありますが、同じ日に揚がった同じ大きさのカニであれば、食べ比べても差は小さいというのが私たちの実感です。
Q. 越前がにの値段が高いのはなぜですか?
漁期が冬の4か月ほどに限られること、1尾ずつ競りで値が付くこと、大きく姿の整った個体が少ないことが重なるためです。重さと姿で評価が変わるため、同じ越前がにでも価格の幅は大きくなります。
まとめ
- 越前がにとは、福井県内の港で水揚げされたズワイガニのオスのこと
- 解禁日は11月6日。オスは3月20日ごろまで、せいこがには12月31日ごろまでが漁期の目安
- 黄色いタグには水揚げ港が刻印され、2018年からはGIマークも入る
- 「越前がに極」は重さ1.3kg以上・甲羅の幅14.5cm以上・爪の幅3cm以上をすべて満たしたもの
- 値段は重さ・姿の良さ・身の詰まり・時期で決まる。家庭用なら脚折れを選ぶ手もある
越前かに問屋ますよねについて
ますよねは福井県で創業60年以上、越前がにをはじめとするカニ・海産物を扱う問屋です。仕入れ・商品企画・発送を自社で行い、家庭で「おいしく食べられる状態」で届けることを大切にしています。この記事も、日々カニを扱う現場の経験をもとに書いています。

